が頭を預けたのは朴念仁の膝の上だった。
は伊佐間の隣に座っていたのでそのまま倒れ込んだのだ。
「あ」
「え―――」
「えぇっ」
「―――…」
倒れ込んだはそのまま気持ち良さそうに寝入ってしまった。
得心がいかないのは関口や益田や中禅寺である。
「ちょ、ちょっと伊佐間さん何やってんスか!」
「いさま屋、き、君」
「伊佐間君…」
各々が伊佐間に不満を示した。
わあわあと騒いでいるのは益田だけなのだが、
関口はううとかああとか云い乍ら伊佐間になんとも恨めしげな視線を投げ掛けているし、
中禅寺は無言で本を読むふりをしながら視線はしっかり伊佐間を捉らえている。
剰えその背後には真っ黒い淀んだオーラが見え隠れしているのだ。
「伊佐間さぁん、なんて羨ましいことしてンですかぁ」
益田が泣きそうな声で云った。
「そ、そうだよいさま屋。
―――ぁ、いや、そうじゃなくて、えぇと」
「黙っていたまえ関口君。
君がどれだけ喋ろうと状況は全く変わりゃしないよ」
「うぅっ」
関口は眉をしかめて冷や汗を流しながら俯いてしまった。
「ところで伊佐間君。そのままではいづれくんの首が痛くなってしまうぞ。
一刻も早く其処からどいてくんを床に寝かせてはどうだね」
中禅寺の言葉の端々に棘がある事に伊佐間は気付かないふりをした。
益田は良い事云いました中禅寺さんと云い、
「ちゃんの事を考えたらどいた方がいいですって」
と喜々として云った。
そんな恋敵達の猛攻撃をうけ、朴念仁はやはり朴訥な動作で人差し指を口にあてて云った。
「駄目。起きちゃう」
それだけ云うと、伊佐間は膝の上に乗ったの小さい頭を愛おしそうに撫でた。
春の日差しは、まだ衰えを知らない。
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分岐夢伊佐間の場合。
思いっきり趣味ですいません。膝枕されてみたかったので。
2006.10.23